【書評】影響力の武器その1 著者:ロバート・B・チャルディーニ

◆書評◆
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こんにちは、中華飯です。

今回は”影響力の武器”という本の書評です。

情報過多の現代において、全ての情報を得て判断するのは無理があります。

なので、人間はある特定の情報から判断し、思考の省略をしているのですが、その省略のルールをまとめた本です。

分量の多い本なので、3回に分けて紹介したいと思います。

6つあるルールの内、今回は2つを紹介します。

とても有名で、多くの著名人が紹介している本です。

重要なことが書かれているので、最後まで読んでみることを強くお勧めします。

カチッ、サー反応

初めに七面鳥のヒナ鳥の話が書かれています。

七面鳥の親は、ヒナ鳥の世話をする時に、ヒナ鳥の鳴き声に反応して世話をするようです。

実験としてヒナ鳥の代わりに人形を置いて、その中に鳴き声を再生する機械を仕込んどいて、人形から鳴き声をピピピってした場合でも、人形に対して面倒をみるらしいです。

本書ではこれを「カチッ、サー反応」って呼んでて、そのカチって言う音がテープが流れる時のスイッチの音、サーっていうのが鳴き声が流れている時の機械の音を示しています。

つまり、スイッチを入れると考えもせずに自動的に反応してしまうことを表しています。

で、これが人間にも同じようなものがありますよって言うことが紹介されてます。

全部で6つのルール

人間が自動的に反応してしまうルールが6つあります。

  • 返報性のルール
  • コミットメントと一貫性のルール
  • 社会的証明のルール
  • 好意のルール
  • 権威のルール
  • 希少性のルール

コントラストの原理

上記6つのルールの中に含まれてないんですけど、大原則みたいなのがあって、「コントラストの原理」と呼ばれるものがありますので、これを最初に紹介しますね。

コントラストの原理というのは、最初に提示されたものと、2番目に提示されたものがかなり異なっている場合に、その2番目に提示されたものが実際以上に異なって見える現象のことを言います。

例えば車を購入する場合に、車両本体価格が3,000,000円で、その後に何かオプションでこれつけませんか?と、これが50,000円ですよって提示されると、なんか安く感じちゃいますよね。

最初に提示された3,000,000円に対して 2番目に提示された50,000円が安く感じる、これがコントラストの原理です。

最初は返報性のルールって言う話ですね。

何かを与えられた場合にそのお返しをせずにはいられないっていうのが返報性のルールになります。

返報性のルールの例

例えば、AさんとBさんが2人で美術館に行きました。

休憩してるときにAさんがBさんのためにコーラを買ってきてくれて、それでBさんはそのコーラを飲みました。

その後にAさんがBさんに「実はですね、自分たちはバンドやってて、そのチケット500円なんですけど買ってもらえませんか?」みたいなお願いをすると、Bさんとしては買ってしまうみたいなことです。

そのコーラを買った場合と、買ってあげなかった場合、両方実験してみると、やっぱりコーラをあげた場合の方が断然買ってくれる確率が高い結果になりました。

この例で特筆すべきことは、コーラが100円だったとしても、それをもらった後だと500円でもチケット買ってしまうことです。

返報性のルールの特徴

このルールには特徴が2つあります。

  1. 威力が強くて、なかなか抵抗できない
  2. 余計なお世話の場合でもの恩義が生まれる

先ほどの例で、例えばAさんが買ってきてくれたコーラがBさんが欲しかったとしたら、恩義の感情が生まれるのはまぁ当然ですよね。

でも、Bさんがその時コーラが欲しくなかった場合でも、「返さなきゃ」という感情が生じます。

悪用されやすいルール

これは、実はとても悪用されやすいルールです。

なぜかって言うと、恩義を感じる相手が選べないんですよね。

この人からは感じたくないと思っても、もらった瞬間に恩義と感じてしまうので、自分では相手を選ぶことができません。

もう一つ悪用されやすい特徴があって、先ほどの例のように不公平な結果を導き出すことができる点です。

100円のコーラで500円のチケット売るみたいな、明らかに400円分損をしているけど買ってしまう、こういう悪用ができてしまうっていうのが返報性のルールです。

さらに効果を高める「譲歩したら拒否法」

初めに紹介したコントラストの原理と、この返報性のルールを組み合わせた方法があって、それが「譲歩したら拒否法」と呼ばれているやつですね。

これは1番目にものすごい大きい要求をして、「いえいえちょっとそれは無理です」って断られたら、「じゃあもう少し要求を小さくするからこれでどうですか?」みたいな風にやるのが、譲歩したら拒否法って呼ばれてるやつです。

トランプ大統領とかをやってみたいですね。

最初に「中国からの輸入は全ての項目で禁止だ!」って言って、「それはあんまりでしょ」ってなったら、「じゃあしょうがないから、この品目だけ輸入を許してやる」みたいな感じです。

この方法もすごい力で、返報性のルールだけの場合と比べてより大きな義務感を与えることができるし、その後に交渉が成立したらより大きな満足感が与えられるそうです。

コミットメントと一貫性のルールは、自分がやってしまったことについて一貫していたいって言うものになります。

コミットメントと一貫性のルールの例

海水浴のビーチでトイレに行くとします。

ビーチって金庫とかないので、盗難に遭うか心配じゃないですか。

なので近くの人に「あのすいませんが、私の荷物を見ておいてもらえませんか?」って頼んで、「いいですよ」の返事をもらった後に立ち去ります。

立ち去った後にそこにおいてあるラジオを盗みに来る人を派遣する、という実験を行ったところ、「これ見といてくださいね」って声をかけた場合は20人中19人が「持ってちゃダメですよ」って注意をしてくれたそうです。

声をかけなかった場合は、20人中1人か2人しか注意する人がいなくて、ラジオそのまま持って来ちゃったっていう結果になりました。

頼まれたことに対して「はい」と言った瞬間に、義務感が生まれるっていうのがこのコミットメントと一貫性のルールです。

ルールが発動しやすい条件

実はこのルールが発動しやすい条件が4つあります。

ルールが発動する4つの条件
  1. 行動を含むこと
  2. 公表されること
  3. 努力を要すること
  4. 自分の意思で選んだこと

この4つが当てはまるものが多ければ多いほど、コミットメントと一貫性っていうのがのルールが働きやすくなります

承諾先取り法

これに類似した方法で、「承諾先取り法」っていうのがあります。

これは「決定した後に前提条件を取り除いたとしても、決定をそのまま維持できる」というものです。

例えば400万円の車があって、100万円値引きして300万円で買ってくださいってなって、300万円なら買います、というケースがあります。

その後に、「店長に話したらやっぱり100万円の値引きは無理だったので、50万円の値引きでお願いします」と言うと、350万円でも車買ってしまうようです。

300万円で「車を買う」という決定をしたら、その決定したことが新たな柱になって、「車を買うという決定した」ことに一貫していたいがために、後で100万円の値引きするという前提条件が取り払われても車を買ってしまうということです。

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